たちかわ歯内治療院
トップページ 根管治療とは › 2. 症状や医療用語について
  1. 歯内療法って、そもそも何?
  2. 症状や医療用語について
  3. マイクロエンドは本当に効果があるの?
  4. マイクロエンドはなぜ保険外診療なの?

症状や医療用語について

歯医者さんで聞くかもしれない歯内療法分野に関わる言葉を簡単にまとめました。

【 歯の構造 】

歯の構造には解剖学的な名前がたくさんついていますが、歯内療法の分野で特に患者さんにとっての知識で必要な構造は、 大きく分けて歯冠(見える部分)、歯根(大半が見えない部分)、さらに、 エナメル質(歯の見える部分の白くて硬い部分)、象牙質(エナメル質の中と歯根にある歯の大部分)、 セメント質(歯根の象牙質を取り囲んでいる薄い層)、歯髄(歯の中の内容組織)、歯根膜(歯根全体を取り巻く靭帯)、 歯槽骨(歯根膜の外側の顎の骨)、根管(歯髄が入っているスペース)これだけ知っていれば歯医者さんの話がスムーズに聞けるでしょう。

【 齲蝕(うしょく)】

Dental caries いわゆる虫歯のこと。 歯が齲蝕になるのは、主に細菌が産生する酸によって歯の硬組織が破壊侵食される為に起こります。 初期の表面層だけの軽い侵食でしたら、再石灰化によって回復する場合もありますが、放置すると 進行速度は様々ですが回復せずに深い部分にまで進んでいきます。 エナメル質(C1)、象牙質(C2)までの軽度から中等度までの齲蝕でしたら除去して修復してあげると進行は止まります。

【 歯髄(しずい)】

いわゆる歯の中の神経のこと。 主治医の先生は患者さんにわかりやすく、「神経」と説明すると思います。齲蝕が進行し歯髄に到達(C3)するといくつかの痛みを起こすためです。 神経の他には、血管や線維組織が多量に含まれています。

【 根管(こんかん)】

歯根の中の歯髄が入っている部分のことです。神経管という先生もいます。 根管治療とは主に歯根の中の歯髄がある部分または、あった部分を処置することを指します。 根管は人それぞれ非常に複雑な形をしています。

【 歯髄炎(しずいえん)】

体の組織と刺激物が出会ったときには必ず炎症を起こします。歯髄が細菌と戦う時にも炎症を起こします。 軽度の歯髄炎ですと冷たいものにしみる様になり、重度の歯髄炎になると安静時に痛みが出たり、熱いものにしみるようになります。 歯髄炎が進行した場合には、歯髄の血管が破壊されて歯髄組織が死んでしまいます。この状態を歯髄壊死と言います。

【 歯髄壊死(しずいえし)】

歯髄炎が進行して生じる場合と、打撲などの外傷によって生じる場合があります。 細菌に感染すると免疫力がないために、たちまち細菌の温床となってしまいます。

【 感染根管(かんせんこんかん)】

歯髄壊死の状態で細菌に侵されるようになると、感染根管という状況になります。 腐敗菌に感染した場合には歯髄壊疽(しずいえそ)となり、痛みが強く出ます。

【 根尖性歯周組織炎(こんせんせいししゅうそしきえん)】

歯髄の炎症が経過すると、細菌は歯根の先の方にまで到達します。歯髄だけでなく歯根膜や歯槽骨が細菌によって破壊された状態を指します。 齲蝕とは違い、歯の見えない部分ですので、腫れたり、痛みがでないとご自身では気付きません。 急性根尖性歯周組織炎の場合には、さまざまな痛みを伴います。何も症状がなく過去一年前後で治療の経験がない場合に、 歯医者さんで撮ったレントゲン写真で歯根の先に黒い影があると言われた場合は慢性根尖性歯周組織炎の可能性が高いです。 いずれの場合にも適切な根管治療が必要です。

不十分・不適切な根管治療は結果的に根尖性歯周組織炎を招きます。歯根の先に大きな黒い影が見えますが、抜歯をしなくても適切な根管治療を行うと治癒する可能性は高いです。

【 歯内療法(しないりょうほう)】

歯の中の歯髄に関わる処置の総称です。英語では Endodontics(エンドドンティクス)と言います。 歯科治療の中でも難易度が非常に高い部門の一つであり、細菌に対するコントロールと、専門的知識および治療技術が伴わなければ成功は望めません。

【 歯根破折(しこんはせつ)】

歯の根(見えていない埋まっている部分)が割れてしまった状態のことで、修復が可能な場合と不可能な場合があります。 修復が可能だとしても長期的に良好な結果が予想されるとは限りません。

下の奥歯が縦に割れた状態で保存不可能な状態である。(明示するために青染色している)

【 ラバーダム 】

Rubber-dam 歯内療法は主に見えない細菌との戦いです。歯髄に細菌がはびこると歯髄炎になりますが、逆に考えると細菌がいなければ歯髄炎や根尖性歯周組織炎にはなりません。 世界中の歯内療法専門医はこのコンセプトを理解していて治療行為に反映しますが、これに必要な治療装置の一つがラバーダムと呼ばれるものです。 目的には色々ありますが、主に治療中に歯の中に細菌が入り込まないようにする為のものです。

【 マイクロエンド 】

精密(マイクロ)な歯内療法(エンド)のことです。一般歯科で行われる歯内療法や根管治療は肉眼〜ルーペでの視野の倍率拡大で治療を行いますが、 あらゆる分野の専門的治療を行う歯科医師はマイクロスコープ(実体顕微鏡)を使って治療します。メリットは拡大倍率の自由度と、確実な照明装置、歯の中を真上から観察できることです。 観察しながらの精密な治療が可能となり、肉眼やルーペでは見えなかった原因が除去できます。マイクロスコープを使った歯科治療には、さらに多くの周辺装置や精細な治療器具を必要とします。

【 非歯原性疼痛 】

歯が原因ではない頭部・顔面・口腔内の痛みのことです。 歯が痛いので治療をしてもらったけど痛みが消えない、または増悪したなど、この非歯原性疼痛は歯が原因ではないため抜歯をしても痛みは消えません。 筋肉、筋膜、神経系の障害によって引き起こされる場合が多く、女性に好発する傾向があります。 問診・診査により非歯原性疼痛を強く疑う場合には顎顔面痛の専門医をご紹介しております。


コラム : 歯科用ルーペは約2~10倍の固定拡大倍率が得られます。状況に応じては使い勝手は良いのですが倍率が固定であるために根管治療の場合には適していません。 我々歯内療法専門医が使うマイクロスコープとは実体顕微鏡のことで、光を通さない物を観察する時に使う顕微鏡のことです。 歯内療法で用いる場合は約8~30倍の可変的な拡大倍率で使用します。10倍以上になると根管の中が手に取るように見えてきます。 細菌などの微生物は各種電子顕微鏡で観察できますが、実体顕微鏡では見ることができません。